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パナソニック・住友林業・NEC…COP28で日本企業が存在感

 

2023年12月12日

 

「削減貢献量」重要性訴え

アラブ首長国連邦(UAE)で開催中の気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)は、前半の日程が終わる中、ここまで大きな混乱がなく交渉が進んでいるようだ。日本からも企業トップが会場を訪れて、世界に向けて対策強化を訴えている。過去のCOPに比べると日本の経営者の姿が多く、世界全体の気候変動対策の機運醸成に一役買っている。(編集委員・松木喬)

パナソニックホールディングス(HD)の楠見雄規社長は、同社の経営トップとして初めてCOPに参加。5日には経済産業省が主催し、COP28のスルタン・アル・ジャベル議長(UAE産業・先端技術相)を招いたイベントに登壇した。パナソニック関係者は「政府から打診があり、社長に相談するとすぐに出席したいと言ってもらえた」と明かす。

 

楠見社長は同社の排出削減目標を紹介後、技術や製品が社会で使われることで排出を抑制する「削減貢献量」の重要性も強調した。脱炭素につながる技術力が評価されやすくなるためだ。「当社は国際会議で削減貢献量を標準化する議論を主導してきた。削減貢献量が認められると企業が競って削減に貢献し、社会のエネルギー変革を後押しする」を世界に向けて訴えた。

このイベントには住友林業の市川晃会長も登壇し、森林保護の取り組みを紹介。また、リサイクル事業のJEPLAN(川崎市川崎区)の高尾正樹社長も出席した。日本政府はCOP28期間中、同社の技術を採用したペットボトル再生工場をUAEに建設することに合意した。

 

NECの森田隆之社長も同社トップとしてCOPに初参加し、気候変動枠組み条約事務局の会場で2日に講演した。豪雨や猛暑といった異常気象からの被害を軽減する「適応策」への投資も重要とし、「企業や金融機関、政府、国際機関、科学者が協力して積極的に行動を起こす必要がある」と対策強化を呼びかけた。他にもENEOSの斉藤猛社長(経団連環境委員長)、リコーの山下良則会長らもCOP会場に駆けつけた。

 

欧米企業にとって経営陣のCOP参加は珍しくない。2015年のCOP21では大企業のトップが結集し、各国に働きかけて「パリ協定」を採択に導いた。国際組織「持続可能な開発のための経済人会議(WBCSD)」のピーター・バッカー総裁は、「日本企業トップもCOPに来ることが重要」と歓迎した。これまでは環境担当の役員や社員の参加がほとんどだった。

COP28の交渉自体は順調に進んでいる。12月1、2日の首脳級会合(サミット)には154カ国が参加し、気温上昇の抑制に必要な対策を急ぐことで結束を確認した。また、30年までに全世界の再生可能エネルギー導入量を3倍にする誓約に日本を含む118カ国が署名した。

会期が後半に入ると各国の削減目標を引き上げるための合意文書作りが佳境に入る。12日の合意を目指すが、先進国と途上国の駆け引きが予想される。

 

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