日本経済産業省
日本のCCS事業への本格始動
~JOGMECが「先進的CCS事業」を選定しました~
2023年6月13日
本日、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けたCCS事業の本格展開のため、2030年までの事業開始と事業の大規模化・圧倒的なコスト削減を目標とするCCS事業7案件を、モデル性のある「先進的CCS事業」として選定しました。
これにより、2030年までにCO2の年間貯留量約1,300万トンの確保を目指します。
※CCS:Carbon dioxide Capture and Storage(二酸化炭素回収・貯留)の略。
1.背景
2020年10月に、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラル目標を掲げ、2021年4月には2030年度において温室効果ガスを2013年度比で46%削減することを宣言しました。また「GX実現に向けた基本方針」(注1)において、2030年までのCCS事業開始に向けた事業環境を整備するため、模範となる先進性のあるプロジェクトを支援していく方針を示しています。
更に日本が主導する「アジアCCUSネットワーク」(注2)を通じて、日本の技術や制度、ノウハウを生かし、アジア全域での知見の共有や事業環境整備を推進しています。
2.概要
JOGMECは、日本の資源エネルギーの安定供給と2050年のカーボンニュートラル実現への貢献のため、CCSの普及と拡大に向けて、事業の大規模化とコスト削減に取り組むモデル性のある事業を「先進的CCS事業」と位置付け、CO2の分離・回収から輸送、貯留までのバリューチェーン全体を一体的に支援します。
今般、「先進的CCS事業」に対する初めての支援の取り組みとして、国内で排出されるCO2の貯留を2030年度までに開始する事業を想定し、7案件を選定しました。
3.選定案件のポイント
今回選定した7案件は、発電、石油精製、鉄鋼、化学、紙・パルプ、セメント等の事業分野が幅広く参画し、産業が集積する北海道、関東、中部、近畿、瀬戸内、九州などの地域のCO2の排出に対応します。また、2030年までに合計で年間600から1,200万トンのCO2を貯留することを目標としており、この7件(うち5案件が国内での貯留、残り2案件がアジア大洋州での貯留を想定)で約1,300万トンの確保を目指します。これにより、2050年時点で年間約1.2から2.4億トンのCO2貯留を可能とし、日本の資源エネルギーの安定供給とカーボンニュートラルの実現に貢献します。
(注1)「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定されました
(注2)「アジアCCUSネットワーク」が立ち上がりました
※加盟国は13カ国 (ASEAN10カ国、豪州、米国及び日本)
https://www.meti.go.jp/press/2023/06/20230613003/20230613003.html