被災地でコロナ感染「増えている」 能登半島地震、支援の医師が危機感「隔離できない状況」
2024年1月5日
能登半島地震の被害が深刻な石川県で、コロナウイルス感染拡大のリスクが高まっている。
石川県能登町の避難所で医療支援した医師は5日、本紙の取材に「感染が出始めたが、隔離ができない状況」と危機感を訴えた。金沢市の金沢大病院の医師も「子どものコロナ感染が急速に増えている」と語った。
能登町の避難所で活動したのは、日本医科大(東京)の横堀将司(しょうじ)医師。3~4日、災害関連死の防止を目指して活動する全日本病院医療支援班(AMAT)の一員として、700人超が避難する能登町の小木中学校などで被災者の健康管理に当たった。
横堀医師によると、小木中では、コロナやインフルエンザ、下痢の症状を確認。患者は増えており「少なくとも10人前後いる可能性がある」という。4日には80代女性が脱水によるショック症状で、近くの宇出津総合病院に運ばれた。
飲み水すら少なく、トイレにはプールの水を使う状況で、衛生管理に課題。薬も限られる中、感染症患者の隔離が必要だが、避難者たちは段ボールで仕切られた体育館で過ごしている。横堀医師は「隔離するには個室を暖める灯油が必要。(物資不足で)現実的には隔離は難しい」と語った。
3日に訪れた穴水町の障害者支援施設「県精育園」でも知的障害者らが雑魚寝するような状況で、コロナ感染が広がっていたという。3日夕方に訪れた能登町の小木小学校では「水も電気もなく、食料も翌日の分があるかどうか。暖房器具も限られていて、床も冷たかった」。
横堀医師は「現地の方が支援のない中でつらい思いをしていた。胸が痛い」と語り、早期の支援充実を訴えた。
◆「腰を据えた支援が必要」
金沢大病院の谷内江(やちえ)昭宏・副病院長(小児科学・免疫学)は「インフルエンザはピーク過ぎているが、子どものコロナ感染が急速に増えている」と外来診療の現状を説明する。
被害の大きい奥能登では山間地域や沿岸部に集落が点在し、水も食料も十分には届いていない。谷内江医師は「栄養状態が悪く、手を洗う水もなく、人が密集していれば感染が広がるのは避けられない」と語る。
現地では多くの災害派遣医療チーム(DMAT)が活動する。それでも「細かく薬を届けるのは難しい」と谷内江医師は指摘し、「道路状況を良くして物資輸送のインフラをいち早く確保することが求められる。腰を据えた支援が大事だ」と述べた。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/300727
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