【速報中】イラン ライシ大統領ら搭乗のヘリが不時着 安否不明
2024年5月20日 7時57分
中東のイランで19日、ライシ大統領が搭乗していたヘリコプターが不時着する事故がありました。現場は山の中で、救助隊が捜索を続けていますが、ヘリコプターはまだ見つかっておらずライシ大統領らの安否はわかっていません。
イランの国営テレビは、北西部の東アゼルバイジャン州でライシ大統領が搭乗していたヘリコプターが不時着する事故があったと現地時間の19日午後4時ごろ、日本時間の19日午後9時半ごろ伝えました。ヘリコプターにはライシ大統領のほか、アブドラヒアン外相も搭乗していたということです。 現場は山の中でイランの内相は霧などの悪天候が事故につながったという見方を示しています。今回の事故について内相は「困難な着陸を余儀なくされた」と説明していますが、イランの一部のメディアは「墜落した」と伝えていて、詳しい状況はわかっていません。現場付近では夜を徹して救助隊が捜索を続けていますが、ヘリコプターはまだ見つかっていません。 また、別の政府高官は国営テレビに対しヘリコプターの乗組員を含む2人の搭乗者と何度か連絡が取れたとした上で「被害の程度はそれほど深刻ではない」と述べましたが、ライシ大統領らの安否はわかっていません。 ライシ大統領は19日、近くで行われたダムの完成を記念する式典に出席していました。 事故を受けて、国営テレビはライシ大統領らの無事を祈る国民の姿を伝えています。また、最高指導者のハメネイ師は「神が大統領と同行者たちを国民のもとに返してくれることをわれわれは願う。皆で彼らの無事を祈らなければならない。国の運営には支障はないので心配しないでほしい」と述べ、国民に平静を呼びかけました。
米国務省 状況を注視
イランと対立するアメリカの国務省の報道担当者は19日、状況を注視しているとしたうえで「現時点ではこれ以上のコメントはない」としています。またホワイトハウスによりますと、バイデン大統領も状況について報告を受けているということです。
現場に向かう救助隊の様子伝える イラン国営テレビ
イランの国営テレビは19日、ライシ大統領などを乗せたヘリコプターが不時着したとされる現場に向かう救助隊の様子を伝えています。映像では、濃い霧で視界が悪い中、舗装されていない道路を走る車両や、複数の救急車などが停車している様子が確認できます。また、救助隊員とみられる人たちが、丘陵地のような場所を徒歩で進んでいる姿も、確認できます。イランのテレビのキャスターは、「大統領を乗せたヘリコプターの捜索活動が続いている。気象条件、濃い霧の影響で、救助隊にとっては非常に困難な状況だ」と伝えています。
“ヘリコプターの中からダム視察の様子” イラン国営テレビ
イランの国営テレビは、事故の前にライシ大統領らがヘリコプターの中からダムを視察する様子を放送しました。映像のヘリコプターが不時着したものかどうかは不明ですが、映像には3人の男性が写っていてライシ大統領とアブドラヒアン外相が窓の外を見るような様子が確認できます。
“ヘリコプターが飛び立つ際の写真” ロイター通信
ロイター通信は19日、イランのライシ大統領らを乗せたヘリコプターがイランとアゼルバイジャン国境付近を飛び立つ際に撮影されたとする写真を、配信しました。ライシ大統領は19日、国境付近でダムの完成式に参加していて、写真は式典の参加後に撮影されたものとみられます。写真には白と青の機体のヘリコプターが山間地を飛行する様子が写っていて、この時点では視界が悪い状態ではなく、地上の車両なども見えています。
ライシ大統領とは
ライシ大統領は63歳、イラン北東部のマシュハド出身のイスラム法学者で、イスラム体制の維持で重要な役割を果たす司法府で検事総長などの要職を歴任し、司法府の代表も務めたあと、2021年6月の選挙で大統領に選出されました。保守強硬派の指導者として知られ、現在85歳のイランの最高指導者、ハメネイ師の有力な後継候補の1人とされてきました。おととし、イランでスカーフのかぶり方をめぐり逮捕された女性が死亡し、大規模なデモが各地に広がった際には「治安を乱すことは許されない」として、取締りを強化しました。また、外交面では反欧米の強硬路線をとり、とりわけ緊張が続くガザ情勢をめぐってはイスラム組織ハマスを支持し、イスラエルやイスラエルを擁護するアメリカと敵対する姿勢を強めていました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240519/k10014454691000.html