米宇宙軍が日本に司令部の創設を計画―日中関係は複雑化するか
2024年6月9日
米宇宙軍は、米軍とその同盟国に脅威をもたらすポテンシャルの開発に多額の投資を行う中国に対抗するため、宇宙領域におけるフィールド・コマンド・センターの創設を日本で計画している。5月27-28日にシドニーで開催された宇宙サミットで、インド太平洋宇宙軍のアンソニー・マスタリア司令官(准将)が述べた。
日本における宇宙領域コマンド・センターのモデルは、2022年12月に韓国の烏山(オサン)にある米空軍基地に設立された同様のセンターである。その業務は、米国の衛星から送信されるデータの受信、処理、分析などである。任務に就くのは8人、これが日本に想定されている司令部の「ベースとなるレベル」とマスタリア司令官は述べた。
マスタリア司令官は、日本における宇宙領域コマンド・センターの設立時期を明言しなかった。だが、米宇宙軍と日本の強力強化に向けた動きは、それ以前から始まっていた。2023年1月と5月、日本の準天頂衛星システム(QZSS)に配備するため、2機の宇宙領域把握(SDA)光学センサーが米国から日本に初めて届けられた。QZSSとは、アジア太平洋地域における全地球測位システムのカバーエリアを拡大するために日本で開発された測位衛星システムである。そしてSDA光学センサーは米宇宙軍の宇宙認識能力を強化すると、当時のプレスリリースで宇宙システム司令部は述べている。この出来事について、マスタリア司令官は「両国にとって非常に重要な中間的目標地点」と言い、「我々は、同盟国やパートナーと協力して、宇宙での活動を全体的な作戦に統合できる宇宙専門家人材の育成に尽力している」と述べている。
日本国内に米宇宙軍の宇宙領域コマンド・センターを創設することは、日中関係を複雑にするのか。モスクワ国立国際関係大学東洋学部のウラジーミル・ネリドフ研究員は次のように考える。
「これは、安全保障分野における日米同盟関係を強化するための一歩ではあるが、決して最初の一歩ではない。これは岸田氏よりずっと前、そして安倍氏よりもっと前から始まっていた。だが、この関係を最優先事項としたのが岸田氏である。4月の日米首脳会談で岸田氏とバイデン氏は、日米の防衛協力を最適化し、米軍と自衛隊の調整メカニズムを改善することで合意した。
私は、日本に宇宙領域コマンド・センターを設置することが日中関係を著しく複雑にするとは思わない。日本も中国も互いに関係を断ち切るわけにはいかない。だから、中国は宇宙領域コマンド・センターの設置を見て見ぬふりをするかもしれないし、地域の緊張と対立の激化につながると警告するだけかもしれない」
米宇宙軍は2019年12月、トランプ大統領(当時)の下で創設された。米軍の新設部隊創設は過去70年以上、一度もなかったことである。韓国空軍の宇宙部門は2022年12月に設立された。これは事実上、米宇宙軍との連携能力強化を目的とした宇宙領域コマンド・センターの開設と併せて進められた。日本は米宇宙システム司令部のプログラムオフィスと緊密に連携して取り組んでいる。この作業は内閣府宇宙開発戦略推進事務によって進められている。
https://sputniknews.jp/20240609/18590873.html