トランプ氏、関税引き上げ計画弁護-日鉄の買収計画は阻止へ
John Micklethwait、Nancy Cook
2024年10月16日 2:48 JST
更新日時 2024年10月16日 7:33 JST
米大統領選の共和党候補であるトランプ前大統領は15日、関税の劇的な引き上げや米金融当局との一段と直接的な協議を通じて米経済を刷新する自身の計画を弁護した。トランプ氏の政策方針はインフレを加速させ、連邦債務残高の急増を招くと予想されているものの、同氏は自分の政策が大幅な成長につながるとの主張を展開した。
トランプ氏はエコノミック・クラブ・オブ・シカゴでブルームバーグ・ニュースのジョン・ミクルスウェイト編集主幹とのインタビューに応じ、自身のプログラムについて、「多大な効果がある。前向きな効果だ」と述べるとともに、「われわれにとって成長が全てだ。わが国に企業を呼び戻す」と語った。
トランプ氏は1時間に及んだインタビューを通じ、同氏の政策が経済に与える影響は正味マイナスであり、米国の消費者にコストを転嫁するものだとするエコノミストの予想を繰り返し退けた。
自身が掲げる関税政策がサプライチェーンの混乱をもたらしたり、中小企業を圧迫したりする可能性を否定し、関税を避けるために企業は製造拠点を急いで米国に戻すだろうと指摘した。
また、数多くの不法移民を送還する自身の計画についても、合法的な移民によって影響が相殺されると主張。自分のリーダーシップは同盟国から怒りを買うのではなく、忠誠心を引き出すとも論じた。
外国製品への関税を大幅に引き上げる自身の政策は「既存企業と参入する新たな企業」を守るためのものだとし、正当性を主張した。
貿易業に従事する米国人が関税によって影響を受けるとの見方には異議を唱え、国内で新たに創出される製造業の雇用によって相殺されると指摘。関税によって米国への製造業回帰を迫るとし、「関税が高ければ高いほど、それを支払わなくて済むよう企業は米国内で工場を建設するだろう」とした。
日鉄のUSスチール買収計画
トランプ氏はまた、日本製鉄によるUSスチール買収計画を阻止する考えを改めて表明。買収計画について「恐ろしい前例となる」とし、鉄鋼は国家安全保障上、極めて重要だと述べた。
トランプ氏は、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の解任を目指すかとの質問については回答を避けたが、大統領が金利の変更について中銀トップに意見を述べるのは妥当との考えを示した。
「良識ある優れた大統領であれば、少なくとも彼と話すことはできるはずだ」と発言。大統領が政策金利の変更を強制できるべきだとは思わないとも付け加えた。
トランプ氏がFRB議長の仕事をやゆする場面もあった。「月に一度出勤して、『コインを投げて決めよう』と言うだけで、誰もが神のようにあがめる」と述べた。
司法省がグーグルに強制分割を迫るべきかどうかについては明言を避け、「より公平」にするために何らかの措置が必要だと思うが、アルファベットが事業の一部をスピンオフさせる必要はないかもしれないと語った。
移民問題は、トランプ氏の政策がビジネスに新たな課題をもたらすと考えられる分野だ。労働力不足を悪化させ、経済に混乱を引き起こす恐れがある。
「私は多くの人にわが国に入ってもらいたいが、合法的に入ってほしい」とトランプ氏は述べた。
プーチン氏との関係
著名ジャーナリストのボブ・ウッドワード氏は新著で、トランプ氏が2021年の大統領退任後、ロシアのプーチン大統領と何度か電話で話したと言及している。
「それについてはコメントしないが、もし私が話したとしたら、それは賢明なことだ」とトランプ氏は発言。「私が人と仲良くし関係を築いているなら、それは良いことであって、悪いことではない」とした。
大統領選当日の夜にどの州に注目するかと問われたトランプ氏は、ペンシルベニア州またはミシガン州が最終的な勝敗を支配する可能性を示唆した。両州は民主党の大統領候補ハリス副大統領にとって重要な「ブルーウォール」3州のうちの二つ。
「投票に関するこれまでの状況から判断すると、われわれはかなり順調だ」と期日前投票のデータを指摘した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-15/SLEQFNT0G1KW00?srnd=cojp-v2