日英首脳、経済版「2プラス2」の新設合意 貿易軸に連携
2024年11月19日 5:37 (2024年11月19日 11:07更新)
石破茂首相は18日(日本時間19日午前)、訪問先のブラジルでスターマー英首相と会談した。外務・経済閣僚による経済版「2プラス2」を新設すると合意した。貿易や経済安全保障の問題を話し合う枠組みとする。関税などを巡る対外交渉で足並みをそろえる。
リオデジャネイロで開催中の20カ国・地域(G20)の首脳会議の際に個別に面会した。2国間の「準同盟」を強固にし、経済や防衛など幅広く連携すると確認した。石破首相は「戦略的パートナーである英国との関係を一層強化したい」と伝えた。
首脳間で「欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は一体だ」との認識を共有した。2025年に計画する英空母打撃群の派遣や自衛隊による英軍への「武器等防護」を通じ、安保協力を推進すると申し合わせた。次期戦闘機の共同開発も進める。
経済版2プラス2は日本の外相と経済産業相、英国の外相と貿易相がメンバーになる。年明けにも早期の初会合を調整する。
両首脳は2プラス2の立ち上げに関し「力強い経済成長の実現は日英共通の優先課題だ」と確かめた。日本が同枠組みを設けるのは米国に次いで2カ国目になる。
高関税を掲げるトランプ米政権の発足を見据え、貿易交渉で連携していく。関税の引き上げ回避を米側に求めるため日英で戦略を練る。欧州連合(EU)を離脱した英国は日本との協力で交渉力を向上させる。
英国が加盟する新たな環太平洋経済連携協定(TPP)が12月に発効する。日英は経済連携協定(EPA)も締結しており、自由貿易体制を守るために協力する土台がある。
経済版2プラス2は、半導体や鉱物資源といった重要物資のサプライチェーン(供給網)の強化策も扱う。感染症や紛争で産業に欠かせない物資が入手できなくなる事態を防ぐため、調達先の多様化などに取り組む。
一部の国が物資を独占する経済的な威圧行為にも備える。中国やロシアの動きが念頭にある。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA18CA70Y4A111C2000000/