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中小企業の不況型倒産が急増 コロナ禍からの低迷回復せず物価高も追い打ち 飲食や介護業界で過去最多

 

2024年11月25日

 

(2024年11月18日付掲載)

 

今年の企業倒産が、各産業で過去最多を更新し続けている。『東京商工リサーチ』の調査で、10月の企業倒産(負債額1000万円以上)は909件と昨年比で14・6%増加している。10月単月で900件台に達するのは2013年以来11年ぶりだ。上半期(1~6月)の段階で2014年以降で最多を記録していたが、その後も止まる気配はなく、10月までの累計で8323件、年間で1万件をこえる様相となっている。販売不振や赤字の累積、売掛金の回収難などを要因とする「不況型倒産」が約8割を占めており、なかでも中小零細企業の倒産が増加しているのが特徴だ。こうした状況のなかでも政府はなんら手を打たず、むしろ淘汰を促進する意図が透けて見える対応に終始している。

中小企業淘汰の意図も

 

ある男性は、40代の知人が経営していた会社が倒産し、ホームレスになったと話す。知人は運送関係の事業者で、個人事業主20~30人と契約し、大手から仕事を請けるような形態だったようだ。個人事業主の多くは免税事業者で、知人は課税事業者。インボイス制度が始まったが、免税事業者である個人事業主がいなければ仕事が回らないため、消費税分をかぶっていたという。1人分は少額でも20人、30人分×1年分になると膨らむ。その他の負担増も加わって、この1年で数千万円あった貯蓄が消え、破産に至ったという。知人は自宅も手放し、仕事も住む場所も失った。

印刷業界では、9月末に九州界隈の印刷・製本業界では知られた存在だった会社が自己破産したことが業界関係者のなかで話題となった。同社は07年ごろに他社に先駆けて八色印刷機を導入していたが、競争激化で収入が減少し、設備投資が重荷になって10年ほど前に公的機関や銀行の支援を受けていた。その後、地元の自治体や企業を顧客として営業していたが、コロナ禍の需要減で売上減少をよぎなくされて赤字が続き、事業継続を断念するに至った。負債は約2億3000万円だという。

コロナ禍をゼロゼロ融資などで何とか乗り切ってきた中小零細企業が、景気が回復しないまま物価高に襲われ、そこにゼロゼロ融資の返済や増税、「働き方改革」の影響までのしかかって資金繰りに窮する状況が広がっている。10月の企業倒産(負債額1000万円以上)909件のうち、負債額1億円未満が701件と全体の8割近く、従業員10人未満が9割を占めていることは、倒産が中小零細企業に集中していることをあらわしている。この割合はどちらも今年最高だ。そして、それが起業したばかりの企業ではなく、「業歴30年以上」の企業がもっとも多いという事実も、厳しい現状を示している。

中小零細企業からは「コロナよりも厳しい状況だ」と語られており、数値はその実態を反映したものといえる。